ユトリーヌの東方同人備忘録

幻想をわすれえぬものにする為に…

凋叶棕&Feuille-Morte 考察感想記事リンク集

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    どうも、ユトリーヌです。今回は趣向を変えて、これからの考察をより豊かにする為の記事を綴る。

 

    凋叶棕楽曲の奥深い世界観を紐解こうとした者たちによる考察&感想。web上にはそれらを文章の形で綴った記事が偏在している。その膨大な量に凋叶棕がいかに愛されているかを感じられるが、一々探すのが大変なのも事実。そこでリンク集で纏めさせていただこうと思うのだ。

 

    なおRDさん本人によるライナーノーツ等、公式情報においては「凋叶棕考察wiki」の方でしっかり纏めてある。ここではあくまでファンによる非公式の考察&感想に絞ろうと思う。

    そのため「これはどう考えても間違ってるだろ……」というものもあったりするのだが、それは私の感性だけで決めていいものではないので全て載せる。そのまま受け取るのではなく自分で思考する手助けとしてほしい。

 

凋叶棕考察wiki トップページ

凋叶棕考察・小ネタwiki - アットウィキ

 

    また私自身まだ見つけられていない考察記事もあるだろう。これが入ってないよ〜等の情報があればこの記事にコメントするか、ツイッターにリプを頂けるとありがたい。

 

 

アルバム全体の考察

各楽曲の考察

 

という順。

 

 

 

 

 

凋叶棕

ペティロの談話

ペティロの談話 東方アレンジCD紹介18

凋叶棕とかを再考するブログ

どうして・・・ – 凋叶棕とかを再考するブログ

砂鉄の国のアリス – 凋叶棕とかを再考するブログ

月光照らすはシリアルキラー – 凋叶棕とかを再考するブログ

凋叶棕 考察

砂鉄の国のアリス 考察 | 凋叶棕 考察

 

雑巾雑記帳

雑巾雑記帳 [同人音楽感想] 趣 / 凋叶棕

 

雑巾雑記帳

雑巾雑記帳 [同人音楽感想] 謡 / 凋叶棕

ペティロの談話

ペティロの談話 東方アレンジCD紹介27

凋叶棕とかを再考するブログ

忘れえぬ物語 – 凋叶棕とかを再考するブログ

 

ペティロの談話

ペティロの談話 東方アレンジCD紹介34

凋叶棕とかを再考するブログ

絶対的一方通行 – 凋叶棕とかを再考するブログ

意にそぐわぬリターニー – 凋叶棕とかを再考するブログ

 

凋叶棕とかを再考するブログ

スターシーカー – 凋叶棕とかを再考するブログ

ウッデン・シューズ・ウィズ・リトル・エレガンス – 凋叶棕とかを再考するブログ

Peaceful Distance – 凋叶棕とかを再考するブログ

 

雑巾雑記帳

雑巾雑記帳 [考察・感想] 遙 / 凋叶棕 Part.1

雑巾雑記帳 [考察・感想] 遙 / 凋叶棕 Part.2

凋叶棕とかを再考するブログ

悠久の子守唄 – 凋叶棕とかを再考するブログ

ペティロの談話

ペティロの談話 東方アレンジCD紹介35

 

凋叶棕とかを再考するブログ

Demon Strundum – 凋叶棕とかを再考するブログ

パラレルスカイ – 凋叶棕とかを再考するブログ

その扉の向こうに – 凋叶棕とかを再考するブログ

痩せねば-100kg超級デブオタ…

痩せねば: 【東方アレンジレビュー】綴(凋叶棕)【第3回目】

 

凋叶棕とかを再考するブログ

ALIVE←/→DEAD – 凋叶棕とかを再考するブログ

Fragile Idol-Worship – 凋叶棕とかを再考するブログ

ペティロの談話

ペティロの談話 東方アレンジCD紹介37

すうがくかわいー\(^o^)/

すうがくかわいー\(^o^)/ 「騙」考察

 

  • 辿/誘

凋叶棕とかを再考するブログ

name for the love – 凋叶棕とかを再考するブログ

凋叶棕 考察

she's purity 考察 | 凋叶棕 考察

 

ユトリーヌの東方同人備忘録

凋叶棕アルバム“徒”より「ロストドリーム・ジェネレーションズ」 - ユトリーヌの東方同人備忘録

凋叶棕とかを再考するブログ

スターゲイザー – 凋叶棕とかを再考するブログ

 

雑巾雑記帳

雑巾雑記帳 セカイを呑み込む幻想郷 凋叶棕 『屠』 考察 Part.1

雑巾雑記帳 セカイを呑み込む幻想郷 凋叶棕 『屠』 考察 Part.2

凋叶棕とかを再考するブログ

ブラック・ロータス – 凋叶棕とかを再考するブログ

Supernatural Encounter – 凋叶棕とかを再考するブログ

のんびりしつつどんぶらこと泳いでいるとなんとそこで虚無る日記

2014年8月の買い物 5 もとい「屠」に関する考察という名の妄想 | のんびりしつつどんぶらこと泳いでいるとなんとそこで虚無る日記 - 楽天ブログ

 

四半世紀

奉(ささげ)感想 凋叶棕 - 四半世記

雑巾雑記帳

雑巾雑記帳 花咲く幻想はその手の中に 凋叶棕 『奉』 考察

雑巾雑記帳 花咲く幻想はわが手の中に 凋叶棕 『奉』 感想

凋叶棕とかを再考するブログ

紅魔「Un-demystified Fantasy」 – 凋叶棕とかを再考するブログ

妖々「全て桜の下に」 – 凋叶棕とかを再考するブログ

永夜「imperishable challengers」 – 凋叶棕とかを再考するブログ

二月の晩白柚

二月の晩白柚

 

みずきのカフカ

求の感想(凋叶棕) : みずきのカフカ

ホプレスさん togetter

凋叶棕「求」の自分の感想まとめ(曲ごと) - Togetter

 

はーしぇんさん Privatter 

『喩』の世界構造について暫定的な殴り書き雑感 - Privatter

凋叶棕とかを再考するブログ

パラレルスカイ – 凋叶棕とかを再考するブログ

A transient faith – 凋叶棕とかを再考するブログ

ハムの長文置き場

凋叶棕 喩 感想及び考察 - ハムの長文置き場

 

四半世紀

密(ひそか) 感想 凋叶棕 - 四半世記

凋叶棕とかを再考するブログ

『我が愛しき密室少女に寄せて』 – 凋叶棕とかを再考するブログ

 

卯月秋千さん Privatter 

凋叶棕「夢 utsutsu」についての妄想的かつ悪夢的感想。 - Privatter

はーしぇんさん Privatter 

凋叶棕『夢』の所感 - Privatter

ホプレスさん Privatter 

せっかくだから凋叶棕「夢 utsutsu」について騙ろうか - Privatter

みずなみさん Privatter

凋叶棕C90『夢』感想 - Privatter

みのさん fusetter

@Minorin_Minorさんの伏せ字ツイート | fusetter(ふせったー)

凋叶棕とかを再考するブログ

輝夜 – 凋叶棕とかを再考するブログ

 

東方裏古明地スレまとめ

[東方]凋叶棕「虚」 : 東方おねえちゃんまとめ

 

グリのクソブログ

勝手にレビュー33:凋叶棕の24thアルバム『随』 - グリのクソブログ

 

卯月秋千さん  Privatter 

凋叶棕「音 omoi」についての刹那的感想 「RD-Soundsは『もののあはれ』の作家である」 - Privatter

 

ユトリーヌの東方同人備忘録

凋叶棕「逆」 考察 - ユトリーヌの東方同人備忘録

凋叶棕「逆」 感想(逆ver) - ユトリーヌの東方同人備忘録

凋叶棕とかを再考するブログ

【C94】RDWL-0027『逆』感想 – 凋叶棕とかを再考するブログ

四半世紀

逆(さかさ)感想 凋叶棕 - 四半世記

のんびりしつつどんぶらこと泳いでいるとなんとそこで虚無る日記

「逆」に関する考察という名の妄想 | のんびりしつつどんぶらこと泳いでいるとなんとそこで虚無る日記 - 楽天ブログ

 

ユトリーヌの東方同人備忘録

凋叶棕「娶」雑感想 - ユトリーヌの東方同人備忘録

四半世紀

娶(めとり) 感想 凋叶棕 - 四半世記

凋叶棕とかを再考するブログ

【C95】RDWL-0028『娶』感想 – 凋叶棕とかを再考するブログ

はーしぇんさん Privatter

凋叶棕『娶』についての取り留めのない感想、あるいは怪文書 - Privatter

グリのクソブログ

勝手にレビュー34:凋叶棕の28thアルバム『娶』 - グリのクソブログ

Esist/莱人@スタンプ販売中!さん

Esist/莱人@スタンプ販売中! on Twitter: "凋叶棕の娶の感想とか考察とかごちゃごちゃと投げる"

 

ユトリーヌの東方同人備忘録

凋叶棕「奏」初感 - ユトリーヌの東方同人備忘録

はーしぇんさん Privatter

@harshen_nbさんの伏せ字ツイート | fusetter(ふせったー)

 

  • 全体を通して

ユトリーヌの東方同人備忘録

凋叶棕における「アリス」の解釈 何故に アリス は「アリス」足り得るのか - ユトリーヌの東方同人備忘録

凋叶棕とかを再考するブログ

初心者におすすめな凋叶棕のアルバムとは? – 凋叶棕とかを再考するブログ

考察を用いたweb小説 著:霧山理沙さん

【凋叶棕小説】これが私の描いた、「幻想浪漫綺行」 - ハーメルン

AM:TIGER えーえむたいがー

AM:TIGER えーえむたいがー 凋叶棕の魔理沙曲全部感想(というかひたすら魔理沙の話)

みずきのカフカ

犠牲者の数(凋叶棕) : みずきのカフカ

文脈をつなぐ

凋叶棕(RD-Sounds)の東方アレンジは物語と考察に溢れている 僕と東方Projectとの出会いその6 | 文脈をつなぐ

 

  • 三次創作

ユトリーヌの東方同人備忘録

凋叶棕合同「幻想物語寄稿集」 - ユトリーヌの東方同人備忘録

幻想物語寄稿集より「A girl has nine lives」 - ユトリーヌの東方同人備忘録

幻想物語寄稿集より「幻想の旅人」 - ユトリーヌの東方同人備忘録

凋叶棕合同「幻想物語寄稿集-金-」 - ユトリーヌの東方同人備忘録

凋叶棕とかを再考するブログ

【例大祭15】RD-Sounds寄稿作品・凋叶棕三次創作について – 凋叶棕とかを再考するブログ

【C94】RD-Sounds寄稿作品・凋叶棕三次創作について – 凋叶棕とかを再考するブログ

凋叶棕三次創作本『或いは標本へ憶いを馳せる』の感想 – 凋叶棕とかを再考するブログ

【C95】RD-Sounds寄稿作品・凋叶棕三次創作について – 凋叶棕とかを再考するブログ

茨杏さん fusetter 

@shian_gri_laさんの伏せ字ツイート | fusetter(ふせったー)

 

 

Feuille-Morte

  • ミソロジア

卯月秋千さん Privatter 

Now the time has come to set sail! - Privatter

はーしぇんさん Privatter

Feuille-Morte『ミソロジア』の初聴感想(あっさり風味のネタバレ) - Privatter

みずなみさん Privatter 

ミソロジア(Feuille-Morte)初聴感想 - Privatter

満足ひろponさん Privatter 

「ミソロジア」/Feuille-Morte ちょっとした感想とか妄想とか(ネタバレ含む) - Privatter

四半世紀

ミソロジア 感想 Feuille-Morte - 四半世記

 

  • ワンダリア

四半世紀

ワンダリア(+タビノウタ)感想 Feuille-Morte - 四半世記

 

  • ゲキノウタ

ユトリーヌの東方同人備忘録

Feuille-Morte 「ゲキノウタ」考察 - ユトリーヌの東方同人備忘録

KANITAMAさん fusetter

@kani_to_tamagさんの伏せ字ツイート | fusetter(ふせったー)

 

 

 

    新たな考察を発見したら、逐一追加しようと思う。

    それでは楽しい考察ライフを‼︎

傾き屋「さよならマエリベリー」

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   どうも、ユトリーヌです。今回はc94に委託された、傾き屋さんの新刊「さよならマエリベリー」について綴っていこうと思う。

    例大祭にて同サークルが領布した「ロストガールズ」が結構好きだったのもあって、今回もこのサークルさんの新刊を入手させて頂いた。

 

 

    まずは著者である烏粋さんによる紹介ツイートをば。

 

 

    終わらない秘封倶楽部の一つの区切りを描いた作品。何故蓮子は彼女を本名で呼ばないのか、メリーとは一体何者なのか、そして蓮子の選んだ幸せとは何なのか…

 

 

    それでは感想&解釈を述べていこう。以下ネタバレ

 

 

 

 

 

 

 

 

    この物語は凄まじく完成度が高いように思えた。全体の構図が非常に綺麗にまとまっているのだ。

 

 

  • 幻想の儚さ

 

   読み手が最初に感じるのは“幻想の儚さ”ではないだろうか。

 

   徐々にメリーとズレていく蓮子と、悲しそうに蓮子を諭すおばあちゃんの存在、そして読者に突きつけられるギミック…

   最後の呪文を聞き終えてそっと本を閉じ表紙のSeacret Sealを剥がすことで、彼女の名前に隠されていた秘密をその手で暴く。

 

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    こうして“マエリベリー”は始めから終わりまで“my reverie”であったということに気づく。再確認する。

 

    暴く気づくという過程を踏むこと、それらによって読者はより“幻想”の脆さ、儚さを感じさせられてしまうのだ。

 

 

 

  • 幻想の持つ力の強さ


    しかしだからこそ、読者は蓮子の強さも読み取ることができる。

 

    蓮子はメリーが儚い“幻想”であり、現の存在ではないことに気づいてしまった。どこまでが現実なのか分からなくなり、心をすり減らした。

    しかし彼女が決断したのだ、幻想が失われてしまう前に自らの手で終わらせるということを。消失への恐怖を乗り越えて、メリーとの再開へと続く道、秘封倶楽部の続きを選んだ蓮子は間違いなく強い。

    

    そしてそんな彼女を幼少期から形作ったものは何だったか。そう、親の目を盗んではおばあちゃんに聞かせてもらった“幻想”そのものじゃないか。幻想は蓮子に確かな“強さ”を与えたのだ。

 

 

 


    儚き幻想が生んだ消失感を幻想に形作られた強さを持った蓮子が乗り越えることによって、幻想が一緒に内包する“儚さ”と“強さ”を共に感じさせてくれる。またその両方のきっかけとなったおばあちゃんの存在も相まって、短いながらにものすごく綺麗にまとまった物語だな〜と。

 

 

 

    やや分析的な読み方となってしまったが、物語のプロットそれ自体に魅力を感じてしまったんだからね。しょうがないね。

 

    傾き屋さんの小説はこれからも読み続けていきたいなと思う。

Feuille-Morte 「ゲキノウタ」考察

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    どうも、ユトリーヌです。今回は凋叶棕でお馴染み、RD-Soundsさんのオリジナル楽曲サークルFeuille-Morteの新譜「ゲキノウタ」を考察していく。オリジナルなので東方同人ではないのだが、まあRDさんの曲なのでこのブログで綴らせてもらおう。

 

 

    今回のアルバム、全ての創作者たちに盛大に喧嘩を売ったハイレベルな作品である。私はこれまで以上に物語に引き込まれてしまい、1週目に本気で涙が止まらなくなったよ…。

 

    私の“創作”という物に対する思いまでぶちまけていると収集がつかなくなるので、早い所本題に入っていきたい。

 

 

 

 

 

 

    まずは物語自体の解釈をして、そこから辿れる考察をまとめていく。

 

 

 

 

 

全てを失った男による独り舞台「名前の無い男」「劇」

 

  • 男の激情

    男が目を覚ますと。

    男には何も残っていなかった。

    自分の名前、自分の顔

    自分の知己、家族、恋人。

    男には、

    自分というものが無かった。

 

    自分は何者なのか。

    男は問おうとする。けれどーー

 

(ゲキノウタ特設サイトより)

 

    緞帳が上がりスポットライトが男に当たるところから、全てを失った男の独り舞台は始まる。

    この曲でひたすらに歌われるのは「名前の無い男」の激情。目を覚ますと自分は何も覚えていない。自らの全てを疑い、自らがここにいる理由を望み…

    そのうちに気づくのが、目が覚めてから一言も口にできていないこと。自分は名を奪われたのではなく、初めからなかったのではないかということ。自分は設定を持たない出来損ないとして生み出されたのではということ。

    それでも男は望み続ける。自らの存在意義を、未完のまま閉じられんとする自らの思いを激するうたを。

    しかし何を叫ぼうとしてさえも、男の体は呪わしく項を垂れて、震えの止まぬままなのだ…。

 

 

    結局男は何者であるのか、それが明示されるのが次のprogramである「劇」

    男がスポットライトに当たっていること、項垂れ身体を震わせていること、搾り出すような「俺は     

    男に与えられた設定はこれだけ。その先は書いていないどころか、紙自体がビリビリに破かれた状態。なぜ男が激する思いを声に出すことが出来なかったのか。 当然のことだ、台詞がないのだから。「俺は  のその先、男に与えられたものは何一つ無いのだから…。

    

 

 

    今回新たにRDさんの世界観に加わったボーカルの頼経 遥さんの力強い歌声によって、名前の無い男の激情がこれでもかと伝わってくる。“問わせてくれ どうか” “云わせてくれ 何か”の部分の男の悲痛な叫びに胸を締め付けられてしまう。なぜこの男を生みだした者は、こんなにも悲痛な状態の彼を望んだのか。なぜ劇の台本を最後まで書ききらなかったのか…。

 

 

 

  • エゴの象徴たるスポットライト

    ここで一つ考察しなければならないのがスポットライトについてだ。私はこれを作家のエゴの象徴なのではと考える。

    思い出して欲しい、「名前の無い男」この曲は何から始まっただろうか。緞帳が上がり、スポットライトが男を照らす。そのことによって初めて、男は私達の目に映る。云うなれば何もなかった所にスポットライトが照らされることで、“名前の無い男”という人物が私たちの意識下に形作られる。

    それはまさに、作家のエゴが登場人物を形作る様子と同じなのではないだろうか。スポットライトは作家のエゴを象徴する。

 

    それではこの曲において、エゴの象徴が照らし出しているものは何か。

    一つは男。設定を何一つ与えないまま作家が形作った不完全な登場人物。

    次に「名前の無い男」という曲自身のタイトル。男の様子や激情まで含め、物語全体がこの劇の作家が生み出した者であることの暗示。

    もう一つ照らされているものはあるのだが、それは後ほど。

 

    スポットライトが照らし出しているものであるということは、作家のエゴが生み出したものであることの何よりの証拠である。これは後述する考察にも大きく関わってくるので頭に入れておいてもらいたい。

 

    兎にも角にも、「名前の無い男」はとある人物が生み出した作品であり登場人物なのである。それでは一体誰がなぜこのような作品を作り上げたのだろうか…。

 

 

 

『駄作』の存在意義と“創作”への反撃 「『劇作家』の独白」

 

  • 曲の位置付け

    アルバムの3曲目。この独白によって物語の全ては明かされる。

    最初に確認しておきたいのが、これがintermedioであり、トラックナンバーが✳︎(アスタリスク)であるということ。「intermedio」とは、イタリアのルネサンス音楽において劇の合間に演じられた音楽の事。要するに幕間劇のことだ。物語と物語の合間に挟まれる音楽。「『劇作家』の独白」は名前の無い男の舞台の外側に位置するという事が明示されているのである。programでは数字で表されていたトラックナンバーが✳︎になっているのも同様の理由によるものだろう。

    それではそれを踏まえて聞いていこうじゃないか。なぜ『劇作家』は不完全な男を生み出したのかを、彼が作劇に対して抱いた激情を…。

 

 

  • 『劇作家』の激情と閃き

    物語の登場人物には必ず設定があり、作家のエゴが詰め込まれている。作家はおのれの勝手に、自らなりの人生を持たない「人物」を作り上げ、おのれの思う役目を与えて好き勝手に動かし、そしておのれの勝手で物語の幕を閉ざしてその与えた意味を終わらせる。

 

    『劇作家』はそれが許せなかった。自らのエゴを満たすために、その行為の裏側に潜む悪徳に知らぬ顔をし続ける人々が許せなかった。無理やり与えられた重荷でしか無い人生を背負わされ、決して逆らえない「父君」の大きな声によって進み続け、廻り続ける者たち。彼らを生み出し続ける人々が、その手を止めずに悲劇を続かせる人々が許せなかった

 

    そうして『劇作家』は閃いたのだ。『駄作』を生み出すことを。名も顔も台詞も生きる道も与えられなかった不完全な男、故に重荷でしか無い願いを背負わされる事なく自らの道を歩んでいける男。そんな『誰でもない誰か』と共に戦うことを

 

    『劇作家』としては失格だろう。そんな行動をとる私自身も『駄作』でしかないのだろう。

    しかし、だからこそ戦える。涙を生み続ける『劇作家』としてではなく、『駄作』として彼の声を全ての語り手たちに届けることができるのだ。

 

 

  • 全ての舞台上の者たちは、世界に牙を剥く

 

    ーーもう“この名前”は要らない。

    私には、私の生き方がある。

    あなたの記したものではない、

    私の生き方が。

 

(ゲキノウタ特設サイトより)

 

    特設サイトからそのまま引用した文章だが、“男”の文章が赤い文字なのに対しこの文章は白く描かれている。そして何より決定的なのが一人称のズレだ。何が言いたいのか、察してしまった人もいるのではないだろうか。

 

   

    1人の「駄作」が1人の「駄作」の声を届け、それを受け取った舞台上の者たちがその名前を捨てて反旗を翻したのだとしたら…?

 

    ここでジャケットを見てもらいたい、しっかりと開いた状態でだ。CDケースに入っていた状態では見えなかったものがあるだろう…?

    横たわっている女性が誰なのかは明示されない。しかしもし彼女が語り手の1人であって、舞台上の者による謀反を許したのだとしたら…。

    そして先ほど考察したスポットライトだ。エゴの象徴たるスポットライトに語り手自身が当たるということが、他人にエゴを押し付けることをやめる、すなわち創作をやめるという事を表しているのだとしたら…。

 

 

    これは「駄作」と「駄作」、 そして彼らの声を聞き名を捨てた者たちの反逆。世界に牙を向ける舞台上の者たちの、その始まりを描いた序章。

 

 

 

    作劇激情を抱いた『劇作家』と彼の作り出した悲劇による、全ての作劇への反撃の物語。

 

 

   それが『ゲキノウタ

 

 

 

    ーーその影は、静かに、

    しかしはっきりと、歩み寄る。

 

(ゲキノウタ特設サイトより)

 

 

 

 

最後に反逆されるべきなのは誰なのか、結末の想像

 

   ここから先は考察からさらに発展して、始まってしまった物語の結末を想像してみる。

 

 

 

    さて、私が考えたいのは「『劇作家』は全ての舞台上の者たちを哀れんで行動をとった。しかし「名前の無い男」に対してはどうだったのか」という事。私にはどうしても、彼が「名前の無い男」の事を軽視しているようにしか見えないのだ。

 

 

    まずprogram2「劇」について。ブックレットを見れば分かる通り、脚本がビリビリに破けてしまっている。脚本が途中で終わっているだけなら目的のために必要な行為であると言える。だが、『名前の無い男」に対して哀れみを持っていたのであれば、脚本をひどく損壊させるという行動に出るだろうか…?

 

 

    次にProgram1「名前の無い男」のブックレットをもう一度見てもらいたい。先程スポットライトに当たっているのがもう一つあると言ったが、それは「この暗闇」という歌詞だ。

 

    (当然印刷上の都合であるということも考えられる。しかしその他の歌詞が綺麗にスポットライトを避けているという事や、その部分だけ歌詞の色が僅かに赤みがかっている事、そして何より“スポットライトに照らされている”のがよりにもよって「この暗闇」という歌詞であること。これだけ条件が揃っていて全くの偶然ではないだろうと信じたい…。)

    

    先述した通り、スポットライトが照らし出しているものであるということが、作家のエゴが生み出したものであることの何よりの証拠であるならば…  この暗闇も『劇作家』のエゴが作り出したものとなる。

    そしてこの暗闇は「名前の無い男」にとってどういうものなのか。疑念を抱いてしまうように不自然な、己の過去が溶け落ちたようで不安を煽るような、そして眼下に広がり続け孤独を煽るようなものではないか。

    たとえ『劇作家』にそこまでの意図はなかったとしても、結果として彼がエゴの元に生み出した暗闇が「名前の無い男」を苦しめていることは言うまでも無い。

 

    

    そして何より、こんな考察をするまでもなく「名前の無い男」は不完全に生み出されてしまったことに対して激情を抱いているではないか。あんなにも悲痛な思いを持って、存在意義を探して、叫べないままに慟哭して…

 

    『劇作家』は与えられた役目を背負う事を悲劇として哀れみ、何も設定を持たない登場人物を生んだ。しかし当の本人がこの様子で、この作品は悲劇以外の何者でも無いではないか。

 

 

 

    結局のところ『劇作家』のやっていることも、生み出した人物に「舞台上の者たちを救うための登場人物」というエゴをぶつける行為でしか無い。なればこそ最後に「駄作」による反逆を被るのは『劇作家』に違いないのである。

 

 

 

    暗く淀んだ心から生まれる創作は終わらない。

 

 

 

 

    以上がFeuille-Morte新譜「ゲキノウタ」の考察である。私自身、実はRDさんのオリジナルアルバムを入手するのは今回の夏コミが初めてだったり。4枚ともまとめて頂いた。

    凋叶棕で描かれている複雑で重厚な世界観はこちらでも健在‼︎  しかも「ゲキノウタ」に関しては私の大好物である第四の壁系の物語だということもあり、一聴してお気に入りアルバムになってしまった。

 

    『劇作家』も「名前の無い男」も境遇を想像すると本当に辛いものがあって…(『劇作家』さんには考察でクレームをつけたものの、結末を予想したらそうなっただけで大好きですホントに)

    でも私は残念ながら創作というエゴの塊が大好きで、それの放つ光の美しさを知ってしまっているから2人の応援はできない…。せめて結末だけでも見届けようと思う。

 

    これだけ心を揺り動かされるようなエゴの塊を見せてくれるRDさんを始め、制作に関わった全ての人々へ最大限の感謝を。

 

 

 

    そしてエゴを憎みながらもエゴを擁する激情を抱いた2人に、来ることはないであろう幸せな結末が来る事を祈って筆を置こう。

 

 

 

 

     RDさんもう一つの夏コミ新譜

c94一日目&凋叶棕カラオケオフレポート

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    どうも、ユトリーヌです。c94夏コミ1日目の一般参加レポ&凋叶棕カラオケオフレポを書き記していきたい。私は夏コミ参加は初めてだったのだが、灼熱地獄という代償に十分すぎるほどに見合う素晴らしい一日だった。

 

    初めてアフターに参加したり(しかも凋叶棕オフとかいう最高の集まり‼︎)、とらんさんに「てぃあおめっちゃ好きな人」として名前を認知してもらえていてテンションが最高に上がったり…等々。

 

    それでは綴っていこうか。といってもダラダラと時系列順に書いていっても間延びしそうなのでダイジェストで。

 

 

 

 

    夏コミ当日の午前2時半に家から出発。基本的にいつもイベントにはソロ出陣するのだが、今回は友人と共に車で最速始発駅まで移動するコース。

    その途中で徹夜組の知人から徹夜組同士の車による盛大な追突事故の映像が送られてきて笑ってしまったのはここだけの話。良い子のみんなは徹夜をしないようにしようね? 友人君お前もだぞ。

 

 

  • スタッフの死刑宣告

    今年は例年よりも気温が高い上に固定された待機列はそこそこ日が当たるところだったので、なかなかに地獄だったことは言うまでもない。しかもスタッフから聞こえてくるのが「中はもっと暑い」とかいう死刑宣告。正直帰りたいと思った…。

 

 

  • 戦場にて

    開場後は友人と解散し、50分ほどで買い物終了。今回は事前に目をつけていたのが10サークル程だったので戦略も何もなかったが、強いて言うなら例大祭の反省点だった書い忘れ防止策を徹底できたところが良かったかな?

    ただ今回はリュックが大きすぎて他の参加者にぶつかることがあったので、装備をもう少し考えようと思う。

 

 

  • スケブ byもずさん

    スケブをお二方から頂くことが出来た!まずは鈴菜庵炎上でお馴染み、「なかもず火災保険」のもずさん。スケブ以来の時の会話がすでに不穏だったり…

 

「小鈴ちゃんおねがいします‼︎」

「真面目な感じですか?それとも良くない方向性ですか?」

「良くない方向性で」

 

    そして書き上げてくれたのがこれ‼︎f:id:ogatamakoto012:20180811164520j:image

    有言実行、非常に良くない方向性の素晴らしい小鈴ちゃんです。ありがたやありがたや…

 

 

  • スケブ byとらんさん 

    もう一人の方が、コミケ直前に幻想郷の食事再現として兎肉を食べたり霧雨魔理沙召喚の儀をしたりする“まりキャンプ”を終えたばかりのとらんさん。

    スペースでは生理本やふたなり去勢合同等々闇の魔理沙本を頂き、またスケブも描いていただける事になった。

 

    午後にスケブを受け取りに行くととらんさん本人がスペースの外側まで出て来てくださり、「てぃあおめっちゃ好きな人ですよね?」と声をかけて下さった。今回のハイライト。いくつも同人誌を読ませてもらってる方に名前を覚えてもらっていたんだよ…⁉︎  そりゃあテンション上がっちゃうでしょ。

 

    とらんさんの前にスケブを描いて頂いたのがはなだひょう先生だったのを見て、緊張しながらも気合を入れて描いてくださったという絵がこれ‼︎

 

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    いやぁ本当に心を揺り動かされたよね。魔理沙の真っ直ぐな力強さを感じられる素敵な絵。赤く色分けまでされて強調しているのが「霧雨魔理沙必要十分条件たる恋の炎」。本人から直接「汲み取ってください」と言ってもらったんだ、頑張らないと。

 

    これからもてぃあおと一緒に素敵な幻想を産み出してくれるとのこと。合同の時はもちろん、とらんさんの個人誌も1人のファンとして追いかけて行きたいと思う。ありがとうございました‼︎

 

 

 

 

  • 凋叶棕アフター

    さて今回は私自身初めてのアフターに参加する事になった。メンバーはアフターを提案してくれたえいきさんと、当日参加表明を出してくれたぶらりばさん、私の3人。もちろん皆凋叶棕クラスタ。各自買い物を終えた12:40頃に初めて顔合わせ。凋叶棕を知ったきっかけの話から、ぶらりばさんが前日までうどんを食べに香川県に行ってた話まで、その場でお喋りに華を咲かせてから落ち着いて話ができるところへ。

 

 

  • 凋叶棕関連同人誌読書会

   メインイベントの一つ。「綜纏」全4冊に、「凋叶棕合同-語-」「幻想物語寄稿集」「君違」「夢叶」等々凋叶棕関連同人誌を集めて読んで、それを肴に語り合おうという企画。

    

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   「 綜纏」の「砂鉄の国のアリス」にて、魔理沙とアリスの目の色から読み取ることのできる真実の話。とらんさん主催の合同誌 「恋色目録」にて収録されたRD曲「You were 」  その歌詞の“ララララだったら”の部分に入る内容が、トレーシングペーパーのタロットカードによってわかる話(これは私気づいてなかった…)etc...

 

    3人共普段は周りに語れる人がいない分、凋叶棕の話題には熱がこもるのだった。まあ本を広げている間は皆それに集中していたので、喋るのは主に移動中だったんだけれども。

 

 

  • 凋叶棕カラオケオフ

    予定ではRDさんが撤退する4時頃に先着1名でもらえるポスターに挑戦してその後移動だったのだが、今回はポスターを持って来ていないとの事だったのでそこそこの時間で移動。Twitterでもやりたいやりたいと呟いていた念願の凋叶棕カラオケオフへ。

 

    移動中は先程のような凋叶棕の話題意外にも、地元の田舎具合やカラオケ事情、等身大の学生らしい「東京の大学行きたいよな〜」みたいな話等々で盛り上がる。電車1時間に1本しか来ないのキツくない…?  

    途中人波に揉まれてぶらりばさんとはぐれるアクシデントがあったりしたが、なんとか予約していたカラオケに到着。

 

 

    部屋に入って早速ぶらりばさん、えいきさん、私の順に曲を入れていったのだが、周りに凋叶棕曲知ってる人がいないクラスタからすれば羨ましいことこの上ない選曲群なのよ。

 

 

⚪︎At least one word  ぶらりば

⚪︎忘れえぬ物語  えいき

⚪︎devastater  ユトリーヌ

⚪︎もっともおそろしいものについて  ぶらりば

⚪︎うつろわざるもの  えいき

⚪︎The beautiful world  ユトリーヌ

⚪︎スターゲイザー  ぶらりば

⚪︎ヒカリ  えいき

⚪︎Fragile Idol-Worship  ユトリーヌ

⚪︎真実の詩  ぶらりば

⚪︎その扉の向こうに  えいき

⚪︎A Secret Adventure  ユトリーヌ

⚪︎嘘のすゝめ  ぶらりば

⚪︎アイ・ウィッシュ・クロスフェード  えいき

⚪︎ささぐうた-ヒガン・ルトゥール・シンフォニー  ユトリーヌ

⚪︎スターシーカー  ぶらりば

⚪︎砂鉄の国のアリス  えいき

⚪︎NeGa/PoSi*ラブ/コール  ユトリーヌ

⚪︎盲目の笑顔  えいき

⚪︎Calling  ユトリーヌ

⚪︎貴女を幸せにするために  えいき

⚪︎ロストドリーム・ジェネレーションズ ユトリーヌ

⚪︎Un-Demistified Fantasy  えいき

⚪︎name for the love  ユトリーヌ

⚪︎she’s purity  えいき

⚪︎絶対的一方通行  ユトリーヌ

⚪︎幻想浪漫綺行  えいき

    

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    全27曲、全てRD曲の凋叶棕祭り‼︎ 自分以外の人が凋叶棕曲を選曲するということ自体が憧れていた状況そのもので、最高に楽しかった。「NeGa/PoSi*ラブ/コール」を歌ったら次曲で「盲目の笑顔」が入るんだよ?最高じゃない⁉︎

    テーブルの上には今歌ってる曲の綜纏のページが広げてあって、世界観に入り込みながら歌えるという贅沢な空間。

 

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    えいきさんはめちゃくちゃ歌が上手くて引き込まれるんだよね。「ヒカリ」の“「叡智」がありますように・・・」の部分とか、「うつろわざるもの」の「彼方とともにあるならそれでいい」の部分だとか、ちょっとうるっとくるレベルには心惹かれちゃったからね。ロリ声とかよく使い分けられるわ本当。

   私とえいきさんは1オクターブ下げて歌ってたんだけど、ぶらりばさんは声帯ブレイカーの凋叶棕曲を原キーで歌い切っていたという。「スターゲイザー」のラスサビみたいな一気に盛り上がるところはやっぱり原キーで歌えると気持ちいいんだよな。ぶらりばさん力強い声で盛り上げてくれててすごいなぁと。

  

    いざ自分で歌ってみてわかるのが、めらみぽっぷさんを始めボーカルの方々の歌唱力が異常ということ。凋叶棕曲、歌唱難易度が高いことこの上ない…   最近で言うと「嘔吐、又」「至天」や「punishment」etc…(nayutaさんェ…)  、カラオケで歌おうものなら一撃で声帯がやられること間違いなし。

    RDさんの描き出す複雑な世界観を表現しきれるボーカルの方々は凄まじいという事を再確認した。

 

 

 

    ぶらりばさんは帰りの電車の都合上途中退席。私とえいきさんもカラオケ後はそのまま解散といった流れ。お二方ありがとうございました‼︎ また歌いましょ〜

 

    また機会があれば、今度は曲を持ち込んで「改」以降の曲や委託曲も歌えるようにしたいし、もっとちゃんと時間をとってご飯でも食べながら語り合いたいよね。

 

 

 

  • 同人イベント1人反省会

   それでは同人イベント恒例の反省会。前回の例大祭で挙げた反省点を省みてみる。

 

  ⚪︎小銭の準備

・・・今回はちゃんと銀行でやってきた。えらい‼︎

  ⚪︎容れ物が弱くて戦利品が傷つきかねなかった

・・・100均でハードケースを購入し、トートバックの中に装着した。無事に一つも傷つける事なく帰宅できた。えらい‼︎

  ⚪︎始発では行かない

・・・コミケでは始発が容認されてるからよし、徹夜組は滅べ。

  ⚪︎サークルを回る順番

・・・今回は回ったサークル数が少なかったのであまり深く考えなかった。少ないとはいえしっかり戦略を練った例大祭に比べればかなりぎこちなかったので、次からはある程度考えて行こう。

  ⚪︎買い忘れ

・・・前回の反省を活かし、今回はちゃんとサークル一覧表にチェックをしながら回った。一つも買い忘れ無し‼︎ えらい‼︎

  ⚪︎サークルさんへの差し入れ

・・・これは今回も反省点。事前準備の時間が足りずに用意できなかった。いつも楽しませてもらってるんだから、差し入れの一つや二つ渡したいよね。スケブを描いて頂いたサークルさんなんかには特に。

 

 

    そして今回追加の良かった点&反省点

 

  ⚪︎熱中症対策

・・・初夏コミという事で熱中症対策はバッチリしていった。改善できる点があるとすれば、待機列では薄い長袖を羽織ったほうが楽ってのとサングラスがあるとラクという程度のもの。基本的には良かったと思うよ。

  ⚪︎リュックのサイズ

・・・今回一番の反省点。熱中症対策で色々持っていったはいいものの、リュックが大きすぎて動きづらいことこの上なかった。一応ベルトで圧縮したりはしたのだが、根本的に物が多すぎ。もうちょっと絞ろう。メンソレータム&マスクの匂い対策とか、私はそんなに気にならなかったから平気だと思うよ。(東待機列に並ぶなら考えよう)

 

    

    とまあ、そんなところだろうか。自分の勘に頼らざるを得ないことの多い同人イベント。しっかり反省点をまとめて次に活かそう。

 

 

 

    今回は念願の凋叶棕オフに加え、とらんさんとの会話など最高にテンションの上がる場面が多かった。やっぱり同人イベントは同好の士と交流できる数少ない場所だからね。こういう楽しみ方をしないとね。

 

    夏コミという素晴らしいイベントの企画・運営をしてくださった準備会の方々。スケブを受けてくださったとらんさん、もずさん、いつも美しい世界観に私を引き込んでくださるRDさん、幻想の生みの親ZUNさんを始めサークル主の方々。そして凋叶棕アフターに参加してくださったえいきさん、ぶらりばさん。本当にありがとうございました‼︎

 

 

 

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    さてさて、ここで少し東方新作の話をしよう。ネタバレに配慮しながら少し言わせていただきたい。

    見たくて見たくてたまらなかったCPが一堂に会したんですよ‼︎ 私泣きましたからね⁉︎割とガチで泣きましたからね⁉︎

    そしてキモになるのが彼女たちは夢人格って事なんですよ…。つまり彼女たちが協力して戦っているということは…そういうことなんですよね…。泣けてくるよマジで…。

    あとこれは言っちゃっても大丈夫だと思うんだけども、魔理沙が登場するんだよね。今回の彼女見てみ? 絶対笑っちゃうから。

 

    私的には、これを機に菫子ちゃんが夢の世界から帰ってこれなくなるシリアス本が増えてくれると嬉しいです絵描き小説書きの皆様よろしくお願いします(バッドエンド好き並感)

    

 

 

 

 


  RDさん夏コミ新譜

四面楚歌「わたしはあなたを×したい」

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    どうも、ユトリーヌです。今回は四面楚歌さんが描く幻想小説わたしはあなたを×したい」について綴っていきたいと思う。

 

    まずは作品の概要をば。

 

私は貴方を殺したい/私は貴方を愛したいーー

囲われたような狭い世界で、殺意と愛情が溶けて混ざりあう

秘封倶楽部の、幻想短編集。

わたしと、あなたと、したいのおはなし。

                        四面楚歌 特設サイトより

 

 

    この小説(というより四面楚歌さんの物語全般に言えるのだが)、実物を読んでもらう以外にその歪みきった美しさを伝える手段がない。何故ならストーリー構成そのものだけでなく、世界を曖昧に仕立て上げる巧みな文章表現や、本そのものに仕掛けられたギミック(特殊装丁)により創り上げられる世界観に強い魅力があるからだ。

 

    よってここでは作品紹介というより、読んでいる前提で私の解釈を書き記しておきたいと思う。まあそもそもこのブログはあくまで“ユトリーヌの東方同人備忘録”だからね、自分勝手にやっていきたい。

 

 

 

    私が考えたいことはただ一つ、【タイトルは何か】である。

    おそらくこの作品を読んだ人の多くは「×に入る文字ってなんだろうな〜。“殺”も“愛”も“汚”も入れられるし…。うん、きっと読み手が好きな文字を入れられるように曖昧にしてるんだな。」という答えを出したのではないかと(私の友人がそうだったので…)

    もちろん間違いじゃない。著者はそう思われることを意識しているだろう。それに、そもそも「解釈」というのは“その作品と読み手がどう向き合ったのか”の表れであるので、それを否定することは自ら以外にはできないし(作者の意図と一致しているかは別として)。

    だから私はそれに付随して一つの解釈を述べるという形で綴ろうと思う。

 

 

    Twitterの方で私が挙げた文章が綺麗にまとめられたと自負しているので、そのまま載っける。

 

“善”と“悪”、“殺意”と“愛情”、“紅”と“白”、“幸福”と“不幸”、“生”と“死”、“夢”と“現”、“私”と“貴方”、そして“終わり”と“始まり”………

 

あらゆる境界を曖昧にして、どろどろにして、拒絶して……  どうしようもなく閉ざされ切り、桃色に染まった箱庭で

 


お話

            の

                              話を

 


繰り返す“わたし”と“あなた”と“したい”のおはなし。

 

何もかもが曖昧になった世界でたった一つはっきりとしている事実は、2人がどうしようもなく止まり切ってしまっているということ。

 


だからこそタイトルは

「わたしはあなたを愛したい」

でも

「わたしはあなたを殺したい」

でも

「わたしはあなたを汚したい」

でもなくて…

 

空白に当てはまる言葉を、真実を探すのではなく、さらに曖昧にしなければならない。


全てを曖昧に、ぐちゃぐちゃに、どろどろに溶かし続けた先に残った一つこそが真実なのだから。


最後の部分の左上が答えだ。

 

 

    うん、まあこれ以上言うのは野暮だと思うのだが、あえて結論を行ってしまうとタイトルは

わたし×あなた×したい

である。漢字に直すのなら「私×貴方×死体」

 

 

    この作品で描かれているのは「何もかもを曖昧にしたその果てに、唯一残った確固たる真実」である。

 

   世界を二分する紅と白の太極、その境界がドロドロに溶け混ざった桃色の箱庭。“終わり”と“始まり”すら拒絶して永遠に繰り返される楽園。その中をくるくると回り続ける独りと独りを取り巻く全ての中で、唯一曖昧になっていない事実は「どうしようもなく止まりきってしまっている」ということ。

    何も変わらない、傷つけられない、汚すこともできない彼女たちを表すのに最もふさわしい言葉こそ“したい”。

 

 

    物語のタイトルがその作品を端的に表すものであるならば、中身に準拠していなければならない。

    曖昧な「×」に文字を入れて真実を固めるのではなく、「わたしはあなたを×したい」をさらに曖昧にして、残った真実を見つめらければならないのだ。

 

 

    だからこそタイトルは「わたし×あなた×したい」  曖昧に全てを曖昧に、ぐちゃぐちゃに、ドロドロに溶かし尽くして残った真実である。

 

    

 

 

 

    人比良さんの描くこういう世界観は、数多くいる東方同人作家の中でも唯一無二の歪んだ光を放っていると思う。何か物語のジャンルに当てはめるのであれば本人の言う通り“幻想小説”と呼ぶ他ないのかなと。

 

    誰かに魅力を伝えるのが本当に難しいし、決して万人ウケするような物語では無いはず。だが一度あの鬱屈とした閉塞感に満ちた世界に魅入られてしまったが最後、心を囚えて離してくれなる。

   

    いろんな意味で他人にはオススメできない、お気に入りの作品だ。

room-butterfly 「くらいくらいよるのやみよりくらい」

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    どうも、ユトリーヌです。今回はroom-butterflyさんの第十五回博麗神社例大祭新刊「くらいくらいよるのやみよりくらい」について綴っていこうと思う。

    この小説、今年の例大祭で唯一買い逃した作品だったりする。売り切れだったとかそういう訳ではなく、単に私のチェックミスによるものなのだが…。後日メロンブックスで入手することとなった。みんなも買い逃し対策はバッチリしていこうね。

 

 

 

 

 

 

 

概要

    さて、まずはサークルさんによる作品の紹介をば。

 

 

 

    同サークルが八年間で創り上げてきた鬱ネタ死にネタバッドエンド小説をこれでもかと詰め込んだ闇の書である。名前からしてもう真っ黒。

    私がroom-butterflyさんの小説を読んだのは今回が初めて。ドロドロした、どぎつい鬱というよりは、真っ直ぐで読んでいて心地の良いバッドエンド(?)といった印象だった。

   そして何よりストーリー構成が素晴らしい。最後に「スターライト」という作品を持ってきたことによって短編集全体に深い意味が生まれている。これについても後述する。

 

 

 

各話感想

    それでは1つ1つの物語について触れていこう。なお、あとがきによると数多くのバンドや曲のタイトル等からインスピレーションを受けているとのことなのだが、私はその辺りに疎いので全くネタに気づけてないとあらかじめ述べておく。

 

    以下ネタバレ注意

 

 

 

 

  • あなたをこいにおとすから

    わかさぎ姫をメインにした暗い作品はあまり目にしたことがなかったので新鮮だった。わかさぎ姫の“愛”じゃなくて“恋”なのが良いよね。んでもってタイトルがひらがな表記なのも好き。

    また幻想郷のシステム、人間と妖怪の共存のあり方について言及されているのが面白い。確かにこうなってしまったら夫婦共々死ぬのが一番合理的だよなっていう。

    日本では童話の影響で人魚は悲恋のイメージが強かったりする。だが、妖怪”としての人魚には昔から「美しい歌声で船人達を惑わし、船を難破させてしまう」、「海にいると突然現れて海底の神殿に連れていかれ、不老不死にされてしまう」といったような恐ろしい伝説があるのもまた事実。

    認識がものをいう幻想郷では双方ともが綺麗に組み合わさり、こんな人魚姫が生まれるのかななんて考えてみたりする。

 

 

    救いはどこ…、ここ…?  「秘封ディストピア合同」なんてハイレベルな合同があったのか…。めっちゃ読みたい。

    なんというか、自分の余命を宣告されても調子の変わらないのは私の中の蓮子像に一致していて、だからこそ後半の「……死にたくない」っていうのは強く印象に残った。死に恐怖を抱くことが禁忌である世界への反抗、ディストピアからの逃避。メリーは蓮子を奪わせないと自らに誓う。神様になんて祈らない、こんな世界じゃ神様だって信用できやしないから…。

    そんなディストピアだが、あくまで作り上げたのは人間たち自身であるということが私をやりきれない気分にさせる。小町の言葉を聞いてしまったら、寿命を知ることができようができまいが恐怖の根源をぬぐいきれるようになる日は来ないんだろうなと、そう思えてしまう。

    あとがきが好き。「この蓮子とかいうやつは本当にスペランカーよりも簡単に死ぬな。」

 

 

  • ラファータ

    リョナラーとしての血が騒いでしまう非常に不健全な作品。ほら、咲夜さん普段から普通に人肉調理してたり妖精殺したりしてるから、キレたらああなっちゃうのはしょうがないね。うん。最後に大きな溜息をついた理由が“仕事が増えたこと”とかいう鬼畜さよ。

    妖精の命って本当に軽いな…。片腕消し飛んだ状態で帰ってきたサニーに、妖精自身が“まるで虫ケラみたい”って言っちゃうんだもんな…。死ぬたびになぜ死んだのかも忘れて蘇る彼女たちはある意味幸福なのかもしれないが、それがいいように扱われてる一番の原因となっているんだから哀れなこった。無常無常…。

    私個人としては磔のシーンと絶叫のシーンを非常に楽しめたので満足です本当にありがとうございます()

 

 

  • ぱらいそろんど

    どこまでも純粋で真っ直ぐなレイマリバッドエンド。この2人はどちらかが歪んでいたらもちろんのこと、2人とも真っ直ぐな純愛でもすぐ闇になる。救いようがない。

    わたしの中では(というより凋叶棕クラスタはみなそうな気がするのだが)“空を翔ぶ”という行為が“幻想”そのものの象徴というイメージで、だからこそそれを自らの能力とする霊夢も“幻想”の象徴であるというイメージが強い。

    そして“幻想”というのは私達一人一人が東方の世界へ向ける“こうであってほしい”というエゴと同義で、だからこそ霊夢には二次創作をする各人のそれが一番わかりやすく現れるのだと思うのだ。

     しじまうるめさんの霊夢は“少女の儚さ”の代弁者。魔理沙はそんな彼女の部分を受け止めきれなかった訳だ。「霊夢はこのままじゃなきゃ、綺麗なままじゃなきゃいけないんだ!」 この言葉がこの作品におけるレイマリの全てを表している気がして、とても愛おしい。

 

 

  • 浴室

    蓬莱人メインの小説を読んでいると、さも当然のように死生観を超越した設定や会話が出て来るので面白い。しかし、長いこと東方同人に触れている人々はもう慣れてしまっているのでは?という感じもする。

    彼女らを舞台の外側から観察している私達でさえそうなのだ。一つ屋根の下で共に生活なんてしようものなら完全に感覚が麻痺してしまうんじゃないだろうか。ここの住人たち、あまりにも死に対する姿勢が常人離れしすぎている…。

    この作品の何が好きかって、鈴仙が脈絡なく唐突に死に、その原因が一切語られないことによって、より彼女たちの死生観のズレが強く現れているところなんだよね。

    重いはずの“死”という出来事があまりにも軽く描かれているように見えてしまう。書かないということによってその違和感や不気味さがより引き出されている。いやぁ、見事としか言えない。

 

 

  • 灯火に似る花

    “魔界”という世界に対する新解釈。原作で描かれる白蓮たちの物語がただ一つの幸福な世界であるならば、当然“選ばれなかった世界”である魔界で上映される物語は…。

    一輪、水蜜、星との間で起こる悲劇を繰り返すその間の、神綺の語り口が非常に興味深い。確定した可能性の中で『軍に進んで協力し戦争画を量産した最悪の画家』となった男。ガンマ線バーストの波に飲まれた地球。それらを回避しえる“正しい”選択肢なんてものは存在しなくて、ただ結果論として“正しかった”選択肢だけがあるのだ。無限に存在する可能性達は魔界に蓄積されていく。

    私達読み手は聖と一緒に悲劇を目にするわけだが、どこかわずかな安心感を感じてもしまうんだよね。何故ならあくまでそれらは“もしもの”物語だから。ここで上映された末路は、彼女達が実際は辿ることのなかった道程だから。if...if...if...

    しかしそのわずかな安心感をもむしり取ってしまう星蓮船の墜落。果たしてこれは選ばれたたった一つの結末なのか、それともこれさえも上映された一つのifにしか過ぎないのか。

    「答えはまさしく神のみぞ知る。そう、『選ばれなかった』世界の神である、この私だけがね」

 

 

  • 義務と礼

    「かぐもこ前提のけねもこ」とかいうタチの悪い作品、いいぞもっとやれ。基本的に慧音先生は常識人として描かれることの多い幻想郷の良心。そんな彼女がここまでヤンデレを地で行くのは正直驚きを隠せないといったところ。「私は妹紅を治療するためにやっていたのに…」

    慧音の心情は物語中でおどろおどろしく描かれているのでまあ理解できる。輝夜もそうだよね、蓬莱人ならではの殺意をまとった愛の価値観だよ。問題なのは妹紅‼︎  おまえ、えぇー!おやすみ慧音じゃないよおまえはぁ〜…。

  「妹紅は自らが受けた仕打ちは必ず返す。殺されれば必ず、同じやり方で殺す。」とは輝夜の言葉。蓬莱人同士でのやり合いってのなら分かるんだけど…。報復マシーンじゃないんだから、何かしらなかったのかね。というのが、読み終わった当初の感想。

    少し時間が経って思い始めたのが、死から最も遠い存在であるが故に死を娯楽として享受できる妹紅にとって、死と隣り合わせな存在なのに自らの欲で“殺す”という行為を行った慧音はどう見えるか。

    妹紅にとって本来蓬莱人以外は殺していい生命じゃなかったんだ。だって弱い人間らにとって、死というのは娯楽や欲求程度でもたらしていいものじゃないんだから。しかし慧音は自分のエゴで生命を奪う行為をした、ならば彼女は娯楽で殺しあいのできる“こちら側”だよな。

    永遠の命を持たない者が、蓬莱人と同じステージに立とうとしたことによる悲劇だったのかなっていう。

 

 

  • スターライト

    最後にこの話を持ってくるセンスよ。 ここまで描かれ続けてきた、くらいくらいよるのやみよりくらい世界。そしてこれらの物語は最後の主人公である蓮子が光を投げるシーンで幕を下ろした。弱々しい豆電球のような、しかし決して絶やされることのない光。夜の向こうで待つ名前を知らない、名前を忘れた、そして名前を忘れられない誰かに向けて…。

    当然これによって以前の物語の主人公達が救われたわけではない。しかし最後の物語がこうやって終わるということに意味がある。どこまでも続くかのように思われたくらいくらいよるのやみよりくらい世界に光がともったのだから。

    しかし私は思うのだ。この「スターライト」という作品は本当にハッピーエンドだったのかと。だって蓮子は、メリーはここにいないという事実を受け入れて進むことを選んだんだよ?  確かに蓮子はそれで光を取り戻した。でも秘封倶楽部の在り方が、二人以外の第三者と共にあるように変わった。二人で一つの秘封倶楽部ではなくなったんだ。

    蓮子が最後に光を投げたことによって、それ以前の物語から続いたやみが照らされた。しかし「スターライト」をハッピーエンドど取るのかバッドエンドと取るのかで、この光が本物なのか紛い物であるのかが変わってくる。「くらいくらいよるのやみよりくらい」という短編集全体がどのような終わりを迎えたのかが人によって明確に変化する。ストーリー構成として完璧なのではないかと。

 

 

 

  • 総評

    短編集として非常に完成度の高い、素晴らしい作品だった。一つ一つの作品がえげつないといったものではないので、バッドエンド初心者にもオススメできるのでは?

 

    あとがきを読んでいると同サークルの「断絶」という作品が百年に一度の出来栄えというらしく、とても読んでみたいと思う。またギャグコメディ人情に満ち溢れる光の書の方も後日発表なされるとのことで、一緒に並べて本棚に飾りたいなと。バンドに詳しければ白版のタイトルも予想できるんだろうな〜

 

    さて、蓮子が言うように小説を通じて光を投げるということが出来るのなら、作者であるしじま うるめさんの投げた光を私は受け取ったと言えるわけで。

    幸いにして現代には光が届いたという事を伝えるツールが幾らでもある。そういう意味でも心に残った作品はどんどん感想を発信していきたいし、願わくばそれが著者さんにも届いたらなと。

    そんな事をも考えさせてくれた「くらいくらいよるのやみよりくらい」だった。

梶迫小道具店「アドベンチャーブック 箱の中の冒険」

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    どうも、ユトリーヌです。今回は梶原小道具店「アドベンチャーブック  箱の中の冒険」について綴っていこうと思う。

 

 

   まずは作品の内容をば

 

 

    きみが迷い込んだこの世界は、幻想郷と呼ばれている。
 そして、きみの冒険のすべてが本書に記されている。
 だが、本書はそのまま最初から最後までを通して読んでも、まったく話が繋がらないようになっている。ルールに従って読み進めなくてはならないのだ。
 きみはこれから、「○○へすすめ」もしくは(○○)という指示に出会うだろう。この「○○」には必ず数字が入っており、次に読むべき項目番号を示している。指示をされたら、その項目番号から始まる文章を探し出して読み進めよう。物語がつながる筈だ。
 また、キーワードを与えられることがある。このキーワードはとても大切なものだから、必ず指示にしたがってメモをしたり、消したりしてほしい。キーワードによってすすむべき項目番号が変わる場合がある。
 幻想郷では、危険な目にも遭うことになる。生命点として「20」という数字をメモしてほしい。これは、きみを守ってくれる仲間の生命力を表している。物語の中で増減があったら書き換えること。この生命点は20点を越えて回復することはない。つまり最大値が20ということだ。
 突然幻想郷に放り出され右も左も分からないきみ一人では、この冒険を生き残ることが出来ない。くれぐれも仲間を大切にすることだ。彼女らはきみの代わりに戦ってくれるだろう。その時がきたら戦いの仕方を伝授するので、指示に従うこと。
 また、きみの冒険には3日間しか猶予がない。きみは一日あたり8刻活動することができる。つまり24刻しか活動出来ない。
 きみが何をしていても、時間は経過していく。時計を一刻進めるように指示されたら、残り時間を書き換えること。その結果、残り時間がなくなったら、133へすすまなくてはならない。
 きみはズルをして、望まない結果を見なかったことにして読み戻ることも出来るだろう。しかし、そうやって得た結果は虚しいものだ。素直に結果を受け入れてほしい。
 しかし、きみには何度でも冒険をやり直すことができる。どうか諦めず、何度でも挑戦してほしい。

 そろそろ夜も明けてきたが、準備は整っただろうか。
 整ったならば、きみの名前を教えよう。

 きみの名前は宇佐見蓮子だ。1へすすめ。

                 梶迫小道具店公式サイトより

 

 

 

    という訳で、この作品は紛れもなくゲームである。それも難易度は結構高め。少なくとも入手した情報のメモマッピングは必須。

 

    実際にプレイしてみるとわかるのだが、とにかく情報量が多い上に制限時間がシビア。情報を集めなければ突破不可能なイベントが数多くあるのに、全ての情報を集めていたら時間切れでゲームオーバー。よって周回不可避。集めた情報を基に最適なフラグ立てルートを構築し、次の周回で実践するのが基本戦略となる。無駄足を踏もうものなら即幻想郷滅亡。運が悪ければ即死トラップに引っかかることも…。

    しかし私たちは何度でもやり直すことができる。諦めなければハッピーエンドに辿り着くことは十分可能なのだ。やりがい抜群の“良ゲー”である。

 

 

   それではここから私のプレイ日記、何周目にどうやって死んだかを残しておきたいと思う。もしクリア済みの人がいれば、ニヤニヤしながら見てもらえたらと。

 

 

1周目:気まぐれに足を運んだ地下室で、フランに戦闘でボコボコにされる

 

2周目:周回ゲーであることを前提に、情報収集に専念。無駄足しまくってタイムアップし、ゆっくりと幻想郷滅亡。文を地霊殿に連れて行くところまでは行った。

 

3周目:序盤で永遠亭への行き方に気がつき、向かったものの無駄足。妖怪の山道で迷子になってたら落石に巻き込まれて死亡。

 

4週目:はたてに通行許可を貰うまで最適化したコースで進む。妖怪の山道迷路をしらみつぶしにマッピングしながら進んでいたら、運良くにとりと合流して裏道情報をget。パチュリーのお陰でラスボスとの戦闘を回避してトゥルーエンド‼︎経過時間は19刻だった。

 

    レミリアの言う正しい道順も通れていたみたいで、その後問題なく最後の扉を通過。ループ系の物語に触れたことのある者なら誰もが思ったことのあるであろう「でもハッピーエンドをて手にしたのって主人公だけじゃん‼︎」という疑問に対する蓮子の解答を知ることができた。

 

    クリア後にもう一度幻想郷に足を踏み入れてのルート回収も当然やり終えた。華仙や神子にも会ったよちゃんと。

 

    

 

 

    とまあ、そんなところ。総プレイ時間は4時間程度なので、時間があまりない人でもちょっとずつ進めれば問題なく遊べるだろう。完成度の高い“ゲーム”であるこの作品、是非多くの人にプレイしてもらいたいと思う。以下のサイトでダウンロード可能だ。

[DL]PDF版 箱の中の冒険 - 梶迫小道具店 - BOOTH(同人誌通販・ダウンロード)