凋叶棕「奏」初聴感想
どうも、ユトリーヌです。たった今「奏」を聞き終え、動悸が収まらないまま居ても立ってもいられず書いているのがこの文章になります。いわゆる初感ってやつですね。
いやもうほんとに興奮しすぎで大変なことになってるので、頭がおかしくなってしまわないうちにとっとと本題に入っていきます。とりとめのないなんてレベルじゃない文章になりそうで怖い。考察は全くしてないしてんで的外れなことを言ってても知らないし、現時点で書きたい曲の書きたいことだけ書く。解釈違いとかーーーーッ 全部全部ーーーーーッ 知ったことかーーーーーッ
- 全体を通して
- 1.the music I love
- 2.Closed Rain
- 4.玉兎遠隔群体電波通信網
- 5.Uncooperative Harmony
- 6.踏んじゃってごめんねお燐
- 7.「」
- 9.世界中の誰よりも
- 10.かばねのうた
- 12.the music I hate
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全体を通して
全体を通して印象に残ってることをまず挙げると、音がきれいになった。音質的な意味で。これのおかげでとにかく曲への没入感がすごいんだホントに。
「the music I love」でのグレイズ音、「Closed Rain」での雨音、「」でのライブ感に「世界中の誰よりも」のカラオケ感、「かばねのうた」では自分が横たわって妖精たちに囲まれてる気分になるし、「the music I hate」のイントロで聞こえてくるレコードの音、エトセトラエトセトラ。
これらすべてが私を曲の中に誘ってくれる。「奏」を聞きながら、私は幻想少女たちの“音楽”の中にいる。
感嘆のため息が止まらないよほんとに、はぁ~
1.the music I love
博麗霊夢、彼女に聞こえる音。それははじけるおと。かぜきるおと。あらゆる暴力が襲い来る中でこころをたかぶらせて歌う彼女がかなでるおと。そう、弾幕ごっこ。それが彼女の、博麗霊夢の、すきな、音楽。彼女が愛する音楽。
しょっぱなからこれですよ。あーだめだまた感嘆のため息が。
どこまでも彼女らしい音楽だよね。言葉に出来るものなんかじゃなくって、ただ好きだから好きなんだってのが。一行一行すべての歌詞が、あぁ、霊夢だってなるのほんとにすごい。
2.Closed Rain
フランドール・スカーレット、彼女に聞こえる音。それは雨音。どこかの裂け目から聞こえてくる決して絶えない音。貴女が私を守ろうと、傷つけられないようにと、愛してくれているのだと教えてくれる、呪いのような音。
砂糖菓子を踏み砕いて貴女の言葉だと形容したり、貴女の善意が馬鹿みたいなことだと思っていたりと、明確に貴女に対しての負の感情を露わにしているフラン。しかしブックレットの彼女の表情からは反抗の意思が全くくみ取れない。それは貴女が私を愛してくれているのだと理解ってしまっているから。“私が望んだあなた”が性癖なので、この手の関係性は嫌でも好きになってしまう。
きっと地下室はとてもとても静かなんだろうなって。雨音だけが絶えず聞こえてきていて、時々独りぼっちの少女がこれは素敵なことなんだと呟いて、そして誰にも気づかれないままそっと耳を塞ぐんだろうなと。
4.玉兎遠隔群体電波通信網
鈴仙・優曇華院・イナバ、彼女に聞こえた音。それは楽園の音。つきのうさぎ達の発する雑音。無軌道に続き、共鳴していくうわさばなし。ゆらりゆらりとつながっていく「玉兎遠隔群体電波通信網」
この曲で熱いのは最後の最後での玉兎遠隔群体電波通信網の読みだね。鈴仙まで届いた!と感情が高ぶった。そんでもってジャケットで鈴仙と月兎たちが対局の位置にいるのがいいね。鈴仙の何か意味ありげな視線がいいね。故郷への追憶だったとしたらなおいいね。
それまでは月の兎をやってるレイセン、鈴瑚、清蘭and,more...の間でやり取りされる楽し気な噂話だったのが、鈴仙のもとまで響いたらしい。なんか直前に“つみのおと”とかいう不穏なおとを纏ってるんだが大丈夫なのかね......
あくまで“はかないつきのおと”は玉兎たちが上司の知らないところで発してる痛快な雑音でしかないし、ブックレット見た感じみんな楽しそうだし、いつか再び聞かせるようにって希望的な感じで終わってるし、みんな仲良しってことでいいんじゃないかな。平和が一番!
5.Uncooperative Harmony
河城にとり、彼女に聞こえる音。それは統率されず、不規則な機械たちの音。それでいて不思議と調和が成り立った音。愉快なエンジニアたちによる「Uncooperative Harmony」
これは純粋に曲として好き。私個人の趣向としてEDMチックな電子音だったり、機械のきしむ音だったりが好きなので、これらをうまいこと纏め上げて調和させたこの曲は非常にツボ。ブックレット裏のにとり&モブ河童の笑顔を見てから聞くと、工房でせわしなく動き回りながら各々勝手に音を出して音楽だと言い張る彼女たちの様子が連想されてとても楽しい。
6.踏んじゃってごめんねお燐
いまいちまだ状況がよくわかってないのだが、一つだけ言いたい。これが古明地こいしに聞こえる音だということがどれだけ救いのあることなのか。
いやだって思い出してみ、あの存在しないCDを。たった一本の糸電話以外、すべての音から目を背けて静かな世界に閉じこもった彼女のことを。
「奏」での音と「 」での音にはニュアンスの違いがあるとはいえ、ここにきて解釈の余地が出来たというのは素直に喜ばしいことだ。妄想が捗る。
7.「」
幽谷響子、ミスティア・ローレライ、彼女たちに聞こえる音。それは混沌。歌エと、響ケと、叫ベと、誰にも止められない二人の声に呼応するように聞こえる観客たちの歓声。そして、抑圧から解放された少女たち自身が発する魂の声。
なんだこれは楽しい死ぬほど楽しいぞいや死して歌える歌なんてないから生きるけどもそれはともかくとして死ぬほど楽しい。先にも述べた通り、今作没入感がすごいんだな。マジでライブの観客席にいる感じなんだよな。そりゃ死ぬほど楽しいわ。
私はボルテージマックスの観客席にいたのだから、当然叫んだ。全力で腕を振り上げてハイ!ハイ!ハイ!と叫んだ。そうしたらなぜか隣の部屋に住んでる友人からうるせえと苦情が来た。おかしいな叫ぶべきだから叫んでいたんだけどな()
自重します、はい、はい、はい......
9.世界中の誰よりも
東風谷早苗、彼女に聞こえた音。それは思い出の音。気の知れた友人たちと過ごした、何でもない、それでいてもう二度と戻らない日常の音。
この曲も何がいいかって、没入感なんだよ。音作りがほんとにカラオケに入っていそうな感じでリアル。歌詞もそれっぽい。友人の歌う、全く知らなかったけど好みなJ-POPを聞いてるときみたいなノリノリな感情になった。しかしサビ終わりがいつもの凋叶棕なので安心する。
広めの部屋のカラオケ画面から適度に離れた席、スポンジ感あふれる席に座ってもうほぼ残ってない飲み物を口にしながら、マイクを両手で包み込むように持って立ちながら歌う早苗さんを眺める。クラスのマドンナ的存在の彼女に自分からは声を掛けられなくて、遠くから眺めてるだけで幸せな気持ちに云々みたいな幻視のできた素晴らしい楽曲です本当にありがとうございます。
10.かばねのうた
名もなき妖精たち、彼女たちに聞こえる音。それは耳に残る不思議な言葉。意味は知らねど、真似をしているだけで楽しい歌。そうして“いのちなきもの”たちが声を合わせて響かせる、命あるものへの手向けの歌。
今作で一番好き。アルバム全体を聞き終えてからも動悸が止まらないのは主にこいつのせい。何度も申し上げている通り没入感が異常だから、まるで自分が花の中にうずまっていて、その上を彼女たちが囲んで“偏執的なまで”な笑顔を私に向けて葬送曲を歌っている様子が明確に連想されて戦慄した。
無邪気なんだよね。だからどうしようもないんだよね。我々命あるものからしたら絶対に理解できないことを平然と楽しそうにやるから彼女たち…… 他の状況では味わえない、独特の恐怖感を抱いてしまう。
曲としても非常に好みで文句なしに一番のお気に入りです。カジュアルさと闇深を同時に兼ね備えた恐ろしい曲だ。
12.the music I hate
稗田阿求、彼女に聞こえる音。それは鼓動。余りに頼りなく余所余所しい、かくもわずらわしい生存の証。生きているもののさだめだから、うたいおもいかなでていく独り善がりの音楽。「わたし」の嫌いな、憎い「おもいで」
『うたいおもいかなでていこう』 いったいこの言葉にどれだけの苦悩と憎しみとそれだけじゃないさまざまな感情が、そしてそれらを受け入れる決意が込められているのか。過去作があってこその重たい歌詞だ。本当に、本当に。
イントロがまた重たいんだこの曲。「私」を表すようなノイズ交じりのレコードチックでレトロな音。そこに聞こえてくる命の証。憎らしい、独りよがりの音楽。そしてそれはアウトロでも聞こえ続ける。「私」の音楽は「わたし」にも続いていく。
各曲のブックレット中心部の円が少女たちに聞こえる音を端的に表している。ここからも「私」の音楽がレコードで表現されていることがわかる。少々飛躍してしまうのだが、これを踏まえたうえでもう一度これまでの阿求曲を聞きなおしてみると新たな解釈が生まれるかもしれない。
やはりラストトラックの阿求曲は強力だ。なんて物哀しいんだろう...... ブックレット右側の諦念を感じる表情をした御阿礼の子は未来の「私」なのだろうか。
今回言及しなかった曲は、良い曲ではあるもののまだ語れるほどの考えを持てていないので保留。というかまだ一回聞いただけだからね。初感だよ初感。これからガンガンヘビロテしてもっともっとこの世界観に浸っていきたい。あ~思い出したらまた溜息が。はぁ~好き。